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2011.01.01 - 河北新報 - フィギュア界の新星・羽生、ソチ五輪に挑む

フィギュア界の新星・羽生、ソチ五輪に挑む
河北新報 2011.01.01
 数多くの名選手を送り出したフィギュアスケート王国・宮城に、また期待の星が現れた。宮城・東北高1年の羽生結弦=宮城FSC=。昨年3月にジュニア世界選手権の男子を制し、今季、シニアに転向。16歳の若武者は国内外の強豪の壁にはね返されながらも、挑み続ける。3年後のソチ冬季五輪を目指し、今年の飛躍を期す。
ほとばしる闘争心
 170センチ、53キロ。あどけない表情にすらりとした体格。高い柔軟性で男子ではあまり見られないビールマンスピンやイナバウアーもこなす。しなやかな演技が持ち味だ。
 しかし、心の底には燃えるような闘争心がほとばしる。
 「負けるのは嫌いなんです。弱い自分だけは絶対にみんなに見られたくない。『相手に勝ってやる、超えてやる』という思いは絶対に必要です」
 出場した国内外のジュニア大会を全て制した実績を引っ提げ、シニアに転向した今季。負けず嫌いの少年は、強豪ひしめく新たな舞台で歓喜と挫折を味わっている。
 デビュー戦のグランプリシリーズ(GP)初戦、10月のNHK杯では初めて挑戦した4回転トーループに成功して4位。上々のスタートを切ったが、続く11月のGP第2戦、ロシア杯ではその4回転に失敗するなどミスが相次いで7位。GPファイナルの出場を逃した。
 無念の結果にも前を向く。「悔しかったけど楽しかった。改善すべき点を明確に突き付けられたから。自分はもっと強くなれる。やりがいがあるからこそ面白い」
高い潜在能力示す
 4歳から所属する宮城FSCは、トリノ五輪金メダリストの荒川静香さん、世界選手権で2度の銅メダルを獲得した本田武史さんらを輩出した名門。名だたる先輩たちと違い、2004年に練習拠点を一時失う苦悩も味わった。
 母の由美さんは振り返る。「小さいころはのんびりして、コーチに怒られて泣くこともあった。でも、練習できないつらさを味わい、『自分がやらなきゃ』という自覚が出てきた」。逆境を乗り越え、心が強くなった。
 国内では、バンクーバー五輪銅メダリストの高橋大輔(関大大学院)に同代表の織田信成(関大)、小塚崇彦(トヨタ自動車)が男子3強を形成。国外の選手を含め、実力者たちの厚い壁を越えるのは容易ではない。
 昨年12月24、25日の全日本選手権(長野市)ではフリーの4回転失敗が響いて4位。3強の一角を崩すことはできなかった。ただ、ショートプログラム2位と潜在能力の高さも見せ、2月の四大陸選手権(台北)には日本代表として臨む。
 シニアでの戦いはまだ始まったばかり。「強豪は多い方がいい。試合を重ねるごとに課題が分かるし、練習のしがいがある」。3年後の歓喜を目指し、悔しさを明日の糧にする。

<はにゅう・ゆづる> 94年12月7日生まれ。主な成績は07年全日本ノービス選手権優勝、08、09年全日本ジュニア選手権連覇、昨年3月の世界ジュニア選手権優勝など。趣味は音楽鑑賞で、Mr.Childrenらのファン。仙台市泉区在住。