2016年运动界大事回顾

【2016スポーツ総決算】松坂大輔は軟投転向で復活? 羽生は4回転半!?
週刊朝日 2016/12/24 07:00
https://dot.asahi.com/wa/2016122200038.html

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羽生は毎年進化を続ける (c)朝日新聞社
 かつての輝きはすっかり失ってしまった。2014年12月に3年12億円という破格の契約で日本球界に復帰した“平成の怪物”松坂大輔。右肩の手術などを経て、1軍での登板を果たしたのは10月だった。シーズン最終戦での登板で、結果は1回を投げ5失点の大炎上。
「今のスタイルを貫こうとするならば復活は相当難しい。それに体質もあるでしょうが、まだまだ太り気味に見えます」
 そう語るのはスポーツジャーナリストの大冨真一郎氏だ。米大リーグも取材してきた大冨氏は続ける。
「日本では必要以上に松坂を大きく扱いすぎています。かつての姿から、周囲が求める理想が高すぎて、現実の松坂に重圧をかけているとも言えますね」
 大冨氏によれば、投手は30歳手前がピークで、山本昌や三浦大輔のように40歳を過ぎても現役を続けられるのはほんの一握り。
「速球派では難しい。軟投派へのスタイル転向しかないと思います」(大冨氏)

 12月のフィギュアスケート・グランプリファイナルで、前人未到の4連覇を果たしたのは羽生結弦。試合後の会見で「夢は4回転半を跳ぶこと」と公言した。
「それより美しくきれいな演技を見せてほしい」
 そう語るのは元フィギュアスケート日本代表の渡部絵美氏。昨季のグランプリファイナルで世界最高得点をたたき出した羽生だが、今年は物足りないという。
「本調子でなくとも結果を残すのは素晴らしいのですが、ショートプログラム(SP)とフリーをミスなく完璧に滑りきったことがほとんどないんです」
 グランプリファイナルでもSPで首位に立ったが、フリーでミスを連発。優勝は他選手のミスに助けられた、と渡部氏は見る。4月に史上初の4回転フリップを成功させた宇野昌磨の存在も気になるところだが、厳しい視線を送る渡部氏も、羽生の王座はまだまだ揺るがない、と断言する。
「羽生選手はチャレンジ精神が旺盛で悔しがり屋。だから、次々と目標が飛び出すのでしょう。宇野選手の台頭も気にならないくらい、表現力に差があります。平昌五輪でも表彰台の真ん中に立つ可能性はかなり高いでしょうね」

 競馬場では「まつり」の熱唱がやまない。歌手北島三郎が馬主を務めるキタサンブラックが、天皇賞(5月)とジャパンカップ(11月)を制した。サブちゃんも「感動」したその強さを、朝日新聞競馬担当の有吉正徳記者がこう話す。
「サラブレッドは繊細で敏感なんですが、キタサンブラックは穏やかな性格で、レース中も力むことなくマイペースで走れるんです」
 こうなると期待が高まるのは12月25日のG1レース・有馬記念だ。
「中山競馬場の2500メートルは先行力が武器になるコース。ジャパンカップ時と同じ体調をキープすれば、8割以上の確率で優勝できると思います」(有吉記者)
 3度目のまつりはあるか。

※週刊朝日 2016年12月30日号

★★★

2016.12.27 - 16年スポーツ重大ニュース
dailysports  2016/12/27(火) 11:00配信
http://www.daily.co.jp/general/2016/12/27/0009784106.shtml
 2016年はリオデジャネイロ五輪での日本勢の大躍進に日本中が熱狂した。獲得したメダル数は金12個、銀8個、銅21個で過去最多の41個を記録。数々の感動的なシーンが人々の胸を打った。さらにサッカー、フィギュアスケートなどでも世界の大舞台で日本勢が大活躍。一方でスター選手の引退や死去という残念なニュースも相次いだ。
 ◇    ◇
 【熱狂リオ五輪!空前のメダルラッシュ】
 史上初の南米開催となったリオデジャネイロの夢舞台で、チームJAPANが空前の“メダルカーニバル”を繰り広げた。
 大会前から日本中の期待を背負ったエースたちが、しっかりと結果を残した。レスリング女子58キロ級の伊調馨(32)は、女子個人種目では史上初の五輪4連覇を達成。決勝で残り3秒で大逆転勝利。偉業が評価され、10月に国民栄誉賞も受賞した。同じく4連覇を目指した53キロ級の吉田沙保里(34)はまさかの銀メダルに終わったが、堂々の4大会連続メダルに輝いた。
 体操男子では“絶対王者”内村航平(27)が2冠を達成した。団体では主将としてチームをけん引し、04年アテネ五輪の“栄光の架橋”以来となる悲願の金メダルを獲得。個人総合ではベルニャエフ(ウクライナ)との歴史的な死闘を制して、2連覇を成し遂げた。
 競泳では萩野公介(22)が男子400メートル個人メドレーで金メダル。バドミントンでは世界ランク1位で臨んだ女子ダブルスの高橋礼華(26)、松友美佐紀(24)組が、日本バドミントン界に初の金メダルをもたらした。卓球女子は福原愛(28)、石川佳純(23)、伊藤美誠(16)の3人で臨んだ団体で、2大会連続のメダルとなる銅メダルに輝いた。また、福原は五輪後に台湾代表の江宏傑と結婚。日本中が祝福した。
 ロンドン五輪で金メダル一つと惨敗に終わった柔道は、男子が金メダル二つを含めた全階級でメダルを獲得。女子は金メダル一つを含め5階級でメダルを獲得し復活を示した。
 前評判を覆し、世界を驚かせた種目もあった。陸上男子400メートルリレーで山県亮太(24)、飯塚翔太(25)、桐生祥秀(21)、ケンブリッジ飛鳥(23)で臨んだ日本は、アジア新記録の37秒60で銀メダル。アンカーのケンブリッジが“人類最速の男”ウサイン・ボルトに並びかけたシーンは、大会のハイライトの一つとなった。卓球男子では水谷隼(27)が大車輪の活躍。シングルスの銅メダル、団体の銀メダルはもちろん、その雄叫びとガッツポーズが国民に強烈なインパクトをもたらした。
 リオの興奮と記憶は、いよいよ4年後に迫った20年東京五輪へとつながっていく。

 【長谷川穂積、奇跡の王座奪回、そして引退…】
 ボクシングの世界3階級制覇王者・長谷川穂積(36)は12月9日、世界王者のまま電撃引退を表明した。9月16日、WBC世界スーパーバンタム級王座に挑み9回、猛烈な打撃戦を制すTKO勝利で5年5カ月ぶり、国内最年長35歳9カ月で世界王者返り咲き。WBC世界バンタム級王座を10度防衛し、時代を築いたレジェンドの美しい引き際だった。
 五輪金メダリストの引退も相次いだ。競泳男子平泳ぎで史上初の2大会連続2冠に輝いた北島康介(34)は4月の日本選手権でリオ五輪出場権を逃して決断。男子ハンマー投げで04年アテネ五輪金メダルの室伏広治(42)も6月の日本選手権で21度目の優勝はならず引退を発表した。さらにアテネ五輪女子マラソン金メダルの野口みずき(38)も4月に引退を表明。3月の名古屋ウィメンズがラストランとなり、7月には結婚を発表した。

 【巨星、墜つ 千代の富士が…、平尾誠二が…】
 一時代を築いた大物スター選手の死も相次いだ。大相撲の元横綱千代の富士の九重親方(本名・秋元貢)は7月31日、膵臓(すいぞう)がんで死去。61歳の若さだった。幕内優勝31度。“ウルフ”のニックネームで親しまれ、89年には角界初の国民栄誉賞も受賞した。
 「ミスターラグビー」平尾誠二氏は10月20日、胆管細胞がんのため、53歳で早すぎるノーサイド。伏見工、同大、神戸製鋼で頂点に立ち、日本代表でも主将、監督を務めた。
 ボクシング界の巨星、モハメド・アリ氏(米国)はパーキンソン病との闘病の末、6月3日に74歳で10カウント。「蝶のように舞い、蜂のように刺す」華麗なファイトで世界ヘビー級王座を3度獲得。76年にはアントニオ猪木と異種格闘技戦を演じた。
 「ゴルフ界のキング」と呼ばれ、プロゴルフの人気を飛躍的に高めたアーノルド・パーマー氏(米国)は9月27日に心臓疾患による合併症で死去。87歳だった。メジャー通算7勝、米ツアーでは歴代5位の通算62勝をマーク。攻撃的なゴルフでファンを熱狂させた。
 1970年代にサッカーのオランダ代表として活躍し、“フライングダッチマン(空飛ぶオランダ人)”の愛称で人気を集めたヨハン・クライフ氏は3月24日、がんによって68歳で死去。監督としてもアヤックスやバルセロナを指揮し、バルサに「美しいサッカー」を根付かせた。

 【鹿島がレアル苦しめ世界2位】
 J1鹿島が世界を震撼(しんかん)させた。12月に日本で開催されたサッカーのクラブ世界一を争うクラブW杯で、アジア勢初の決勝進出を果たした開催国枠の鹿島は欧州代表のレアル・マドリード(スペイン)と対戦。2-4で敗れたが、“白い巨人”を延長まで追い込み、日本サッカーの潜在能力を示した。
 開始9分に先制されながらも、MF柴崎の2得点で一時は逆転。8分間で追い付かれ、最後はFWクリスティアノ・ロナウドのハットトリックに沈んだ。レアルを脅かした柴崎を、スペイン紙「マルカ」は「鹿島の宝石」の見出しとともに「柴崎はキャンディー。甘く魅力的(お買い得)な選手」と称えた。
 だが、大善戦にも鹿島に笑顔はなかった。主将のMF小笠原は「結果を求めてやってきた」。DF昌子も「本気を引き出せたが、それが目標ではない」と、あくまで勝利を追求したことを強調。このメンタリティーこそが国内18冠を誇る鹿島の根幹となっている。

 【羽生結弦が快挙!史上初のGPファイナル4連覇】
 まさに絶対王者だ。フィギュアスケートのソチ五輪金メダリスト・羽生結弦(22)が、今月行われたGPファイナル(仏マルセイユ)で、男女を通じてシングルでは史上初となる4連覇を達成した。
 SPは今季世界最高の106・53点で圧巻の演技を見せたものの、フリーはジャンプにミスが重なり3位。合計293・90点で昨年のGPファイナルで記録した世界最高得点(合計330・43点)には届かなかったが、なんとか逃げ切った。
 4種類の4回転ジャンプを操る17歳のネーサン・チェン(米国)や宇野昌磨(19)らが次々と難度の高い4回転を決め、男子フィギュアは“新時代”に突入しつつある。18年平昌五輪まであと1年余り。連覇を目指す羽生の挑戦はまだまだ続く。