2017.04.04 - sportsnavi - 「限界作らず練習した」羽生が逆転V 宇野も2位、強さを示した日本男子

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羽生が優勝、宇野も2位と日本勢は強さを見せつけた【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 フィギュアスケートの世界選手権が3月29日から4月2日にかけてフィンランドのヘルシンキで開催され、男子シングルは3年ぶりの王座奪還を目指した羽生結弦(ANA)が、ショートプログラム5位から逆転優勝を果たした。宇野昌磨(中京大)も2位となり、日本勢がワンツーフィニッシュを達成する最高の結果となった。
ショート5位からの戴冠

 合計300点台が4人。今回ほど高度な次元で争われた世界選手権は過去に類を見ない。そしてその頂点に立ったのは、羽生だった。2013−14シーズン以来3年ぶりの戴冠。2連覇中のハビエル・フェルナンデス(スペイン)をはじめ優勝候補の選手たちが試合後に羽生への称賛を口にした。誰もが納得する王者のカムバックに、会場は沸きに沸いた。

 羽生にとって、今大会のカギになったのは「4回転サルコウ+3回転トウループ」の成否だった。今季はここまでNHK杯とグランプリファイナルのショートでそれぞれ成功して100点超えを果たす一方、フリースケーティングでは成功に至っていなかった。

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ショートではミスもあり5位発進。演技後は顔をしかめた【写真:Enrico Calderoni/アフロスポーツ】

 30日に行われたショートで、羽生は最終グループ1番目の滑走だった。『レッツゴー・クレイジー』の曲に乗り、力みのないスケーティングを見せる。冒頭の4回転ループをシャープに決めたが、続く「4回転サルコウ+3回転トウループ」でミスが出て、98.39点で5位スタートとなった。演技開始の制限時間オーバーによる減点1.00点も取られ、演技後は顔をしかめた。

「非常に悔しいです。毎回毎回、今シーズンは『悔しい』とばかり言っていますけど。本当に何でこんなにも経験が生かされないかなと、自分にすごくふがいない気持ちでいっぱいです」
羽生「このフリーが最高のご褒美」

 迎えた1日のフリーでも最終グループの1番滑走。『ホープ&レガシー』を決意のこもる凛とした表情で滑り始めると4回転ループ、4回転サルコウと冒頭のジャンプをきれいに成功。そのまま美しいスピンに入っていく。そして演技後半、懸案だった「4回転サルコウ+3回転トウループ」を理想的な正確さで着氷。4回転トウループも決めて4本の4回転をすべて成功させた。最後の3回転ルッツで全ジャンプを完璧にそろえると、そこからは拍手が鳴り止まない。羽生が人差し指を天に向けて演技を終えると、観客席は特大の歓喜に包まれた。

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凛とした表情で演技に向かう。自身が持つフリーの歴代最高得点を更新した【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 得点は223.20点で、自身が持つフリーの歴代最高得点を更新。合計321.59点として、この時点で暫定首位に立つ。その後、最終グループの選手たちはいずれも届かず、羽生の優勝が決定した。

「スピードはもっと出せたかもしれないですけど、これが自分のジャンプのため、演技のため、このプログラムすべての完成度のためにできる一番良いパターンだったんじゃないかなと思います。自分にとってはこのフリーが最高のご褒美だと思っています。今季は試合での演技はもちろんですが、やっぱり自分の限界を作らずに練習してこられたことが一番の収穫だと思っています。今日はジャンプ1本1本決めるごとに、徐々に自分が自然に(演技に)入っていく感じがしました」

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