2017.04.20 - WTT Day 1 OP - web sportiva - 羽生結弦が国別の公式練習で新たな試み。「今シーズン最高の演技に」

折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 4月20日から東京・代々木第一体育館で開催される世界フィギュアスケート国別対抗戦。前日午前の公式練習で羽生結弦は、世界選手権後しっかり休養が取れたのか、キレのある動きを見せていた。

http://i.imgur.com/1QhnVsI.jpg
国別対抗戦での演技に注目が集まる羽生結弦 
 フリーの曲かけ練習は5番目。スケーティングで身体を慣らすと、メリハリのある滑りでステップをこなしてから跳んだ最初のジャンプは、高さのある3回転ルッツだった。その後は3回転フリップを跳んで、トリプルアクセルからの3連続ジャンプ。3つ目の3回転サルコウは少し回転軸が後方にそれたかに見えたが、続いて跳んだ4回転トーループはきれいに決めた。
 そして、今季苦しんでいた4回転サルコウ+3回転トーループも決めて4回転トーループまでつなげると、以降のジャンプも力みがまったくなく軽い回転で、調子のよさをうかがわせた。その後は試みた4回転ループを3回目に成功させて曲かけの順番を待っていた。
 フリーは、世界選手権で今季初のノーミスの演技をして気持ちも入っているプログラム。曲かけでは最初の4回転ループで尻が落ちてしまう着氷になりながらこらえると、次の4回転サルコウはパス。ステップシークエンスから演技を再開して3回転フリップにつなげると、後半に入ってすぐの4回転サルコウはパンクして2回転に。それでも、そのまま演技を続けて4回転トーループまでつなげた。続くトリプルアクセルをパスして間をとり、次の3連続ジャンプを4回転トーループ+1回転ループ+3回転サルコウにして、最後のコンビネーションスピンまで演技を続けた。

 曲かけのあとには、失敗した4回転サルコウ+3回転トーループを余裕のあるジャンプで決めると、その後に4回転ループをきれいに決めて、そのまま4回転サルコウからの連続ジャンプも続けた。トリプルアクセルは着氷後にスリップして転倒したが、すぐにもう一度跳んで成功すると、しばらくスケーティングでクールダウンして練習を終えた。
 この日挑んだ4回転トーループからの3連続ジャンプは、四大陸選手権のフリーで後半リカバリーに徹する滑りをしたあと、「あとで振り返れば4回転トーループに1回転ループと3回転サルコウをつければよかったと思う」と話していた構成だ。
 世界選手権でも「最初のトリプルアクセルのあと、感覚がよければ、次のトリプルアクセルを4回転トーループにするつもりだった」と話していたとおり、今回の最初の練習で、新たな試みとしてその3連続ジャンプに挑戦したのは、世界選手権以上の演技をしてシーズンを終えたいという意欲の表れでもあるのだろう。

 羽生は、夕方の記者会見でこう話した。
「シーズン最後の試合ですから、今シーズン経験してきたことのすべてをここで出したいという気持ちがあります。これまで成功しきれていないジャンプや、クリアしきれていない課題。また自分の心の問題とか、それをひとつずつつぶしていって、最終的には今シーズン最高の演技と思えるようにしたい。五輪シーズン前の最終調整という位置づけもある大会なので、ここでどれだけいい経験ができるか、どれだけいい部分をつかめるかが大事なので、自分の演技がどうなのかというのを考えながらできればいいと思います」
 この大会で、羽生は「最高得点は意識していない」と言う。また、いい結果を出した世界選手権のあとの試合で、「自分をどうコントロールしていくかが一番の課題」とも述べた。
 あまりプレッシャーがなく、体調もいい状態で迎えられているこの大会で出す得点は、来季に向けたひとつの目安になるだろう。地元日本で開催される今大会で「楽しみたい」と語った羽生の演技に注目したい。

https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/othersports/figure/2017/04/20/___split_10/