2015.09.01-09.29 KENJIの部屋

羽生結弦選手エピソード 1

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最近どうしてる?

――今日はよろしくお願いします。最近忙しいやろけど、どうしてんの?ちゃんと休み取ってんの?
羽生:最近どうしてんの言われると、仕事がたくさんあり、アイスショーがたくさんありというか。もうなんか大体スケートと、あとはその仕事関係にほぼ時間を取られています。
――あれ、何歳やったっけ?
羽生:ハタチです。今年で21です。
――あっそう。多分ね、他のハタチはね、仕事がねって言わないよ
羽生:大学でもゼミとかあって。
――プラス勉強もせなあかんもんね。大変やな
羽生:大変です。
――仕事やろ、スケートやろ、大学の勉強やろ、その中で取れた時間ていうのは何してんの?
羽生:最近その時間がなさすぎて、大学の課題が結構忙しくって切羽詰まってる状態なんですけど、他はゲームしたりとか。
――ゲームとかはできてるんだ
羽生:できる時があれば。
――移動中とか?
羽生:そうですね。移動中でも結構パソコン持ち歩いて、レポートやってたりもしますけど。
――ちゃんと休みや。
羽生:いろんな方に言ってくださいよ。「もうちょっと休ませてください」って。
――休ませてください。みなさん、休ませてください。そしてあれですよ。釣り行こ、釣り。釣りしたことある?
羽生:ないです。
――やってみたらおもしろいよ。
羽生:釣りゲームはちっちゃい頃よくやってましたけど。
――じゃあ大体わかるよ。行こ行こ、休みをちゃんと取って。琵琶湖へ行こう。

話題になった「壁ドン」※宮本賢二オフィシャルブログ

――ごめん思い出した、前に壁ドンのやつで迷惑かけたかなって
羽生:いや、大丈夫です。
――なになに、大丈夫じゃないんですみたいな
羽生:いや大丈夫、です(笑)。
――反響とかすごかった?
羽生:すごかったですね。他のイベントなのに壁ドンの話しかされなかったのは覚えてます。
――どうも申し訳ございませんでした。あれもさ、ただ練習の合間にちょっと遊んでやっただけやったのに
羽生:遊んでるだけだったんですけどね。まあここまでいろんな意見が飛んでくるとは思わなかったです。
――まあでもファンの人もさ、いろいろあったし大変なこともあったやろうから、笑顔が見せれるって良いんじゃない
羽生:笑顔じゃないですから。めっちゃ真剣な顔してましたから。賢二先生フリが雑ですよね、わりと。
――雑やろ、俺。去り際も適当に去るしな
羽生:そうなんですよ。どこまで踏み込んでいったらいいのかわからない時があります。
――大体なんでも大丈夫。じゃあちょっとまじめなスケートの方いこっか
羽生:切り返し(笑)。


スケートを始めたきっかけ

――スケートを始めたきっかけっていうのは?
羽生:姉が4歳上なんですけど、姉が始めてついて行くだけで。
――あ、そうなんや
羽生:ありきたりかもしれないですけど、別にスケートが好きで始めたとかそういうのではなくて、やらされたわけでもないんですけど。ただ単に姉がやってることだったから姉と一緒にやりたいし、みたいな感じで。
――何年か前に行った時に多分俺お姉ちゃんと会ってるんよね
羽生:多分会ってると思います。
――でもまあ俺人見知りやからうつむいてたけど。今度またお話でもさせてもらう。で、ついて行って滑ってて、すぐにのめり込んだというかそういうわけでもないの?
羽生:のめり込んでもないですね。ほんとにただ姉の背中を追いかけて行ってっていう言葉が一番しっくりくるんじゃないかな。
――お姉ちゃんめっちゃ喜んでると思うよ
羽生:いやでも「なんで私のことばっかり言うの?」って思ってると思います(笑)。

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仙台はスケーターの宝庫

――じゃあそういう裏のことはやめときます(笑)。ほんでその仙台っていったらさ、静香ちゃんもそうやし、みんな固まってるよね
羽生:特にあの世代が。長野五輪の時なんか日本選手って言ったらいいんですかね、ペアも含めて4人が仙台から出てるので。しかも全員先輩なんです。
――そうなんや。それやっぱり見てたら影響するもんとかあった?
羽生:僕長野のことあんまり覚えてないんですよね。ただ仙台で練習するにあたっていろいろ言われるんですよね。TV局の方からも「このリンクから誰々が出ましたね」とかって話はされてたんで、自分も出れるようにしなきゃなっていうことは考えてなくはなかったです。
――だって小学校何年生かの時にインタビューで「金メダル獲ります」みたいなこと言うたんでしょ?
羽生:断言してましたね確かあの時。「夢はオリンピックですか?」みたいな振り方されるんですけど、「金メダル獲ります」みたいなことは言ってました。
――獲っちゃったやん
羽生:獲っちゃいましたね。

ソチ五輪で見事金メダル獲得!

――もうすごかったね
羽生:ショートだけすごかった。
――俺はなんて答えたらいいねん
羽生:まあ、なんかブライアンに特別になんか言われたわけじゃないんですけど、ブライアンさん自体もオリンピックで金を逃した時にフリップをミスしてるんですよね。フリップ1回ステップアウトしただけで負けたんですよ。僕もフリップミスってるんで、まあサルコウもミスってますけど。
――なんか通じるところが
羽生:通じるところがあって。しかもなんか、まあ僕は両手ついちゃいましたけど、形的にはステップアウトなので、ブライアンの呪いかなんか来たかなみたいな(笑)。
――それなんかブライアンに言っといた方がいいんじゃない(笑)、今度会った時。

ソチ五輪は緊張した?

――優勝はしたんやけど、行って現地に着いた時にモチベーションというか心境というか、どうやったの?
羽生:なんも変わらなかったですね。
――普通?
羽生:はい、普通でした。普通の試合前の緊張感でした。僕、緊張するとすごいしゃべるタイプなので。良い緊張の時って何も言わないんですけど、緊張しすぎちゃうとすごくしゃべっちゃうので。だからってすごいぺちゃくちゃしゃべってたかって言われたらそんなこともないし、普通のテンションで。
――じゃあ、良い状態で
羽生:良い状態で入ったんですよ。で、団体戦があって個人があったので、団体戦の時にまさか自分の名前が呼ばれる前にロシアコールだったとは思わなくて。
――え、どういうこと?
羽生:ロシアのコールされてたんですけど、ずっと「羽生羽生」って言われてると思ってて。「こんな期待されてる!俺そんな有名なのかな」みたいな感じで行って、ノーミスして、おっしゃあ!って思って。でも「拍手少ない?羽生コールしてたのにな」みたいな。
――そんなこともあったんや
羽生:団体戦の時はそうでした。個人戦の時は違って、プルシェンコさんが棄権されたじゃないですか。で、それがきっかけで会場からロシア人が結構いなくなってたんですよね。それで拍手も結構まばらで、それにも関わらず自分がショート終わったあとはみんなもう「すばらしい」のコールがすごかったんです。だからその団体戦のこともあったから、余計めちゃくちゃ嬉しかったというか、感動したというか。
――そうなんや
羽生:そこがソチオリンピックで一番印象に残ってるところだと思います。
――その日本人初のフィギュアスケートの金メダルをもらった時にはどういう感じやったの?
羽生:なんかもっと自分でいろいろ想像してて。結構表彰式の想像とかしちゃうんですよ僕って。メダルもらった時何しようとか、結構考えてたんです。で、ちっちゃい頃から絶対オリンピックで金メダル獲ったら、こういうインタビューが来るはずだからこういう風に答えようって全部考えてたんですよ。
――小学校の時から?
羽生:小学校の時から。絶対オリンピックで金メダル獲るところを。
――考えた結果?
羽生:結果、なんも出てこなかったです。
――わはははは(笑)
羽生:なんにも出てこなかったんですよ。実際にそれまでショートもやってフリーやるまでにずっと同じようなこと考えてたんです。フリー終わって、1位確定して、インタビューのゾーン通るんですけど。その言葉ひとつもでてこなかったですね。

――じゃあさ、小学校の頃からあたためてたこれを言おうっていうのを2,3個教えてくれへん?
羽生:とりあえず、今まで教えてもらった先生の名前を全て言おうと思ってました。全ての先生の名前を言って、この先生方が支えてくださった方々ですって言おうと思ってたんですけど、出てこなかったですね。
――もうパーンってなってしまってんねやろね
羽生:出そうとは一瞬思ったんですけど、もう詰まってるし、プレスカンファレンス行けよみたいな空気だし。
――忙しいもんね
羽生:ブライアン待ってたし。ブライアンがずっとハグをしようと待ってたから言えなかったんですよ。
――なんかもういろいろ場面があったんや。他にはなんかなかったん?
羽生:名言みたいなのを残したいなって思ってたんですよ。
――それはなんやったん?
羽生:感謝の気持みたいなものをもっとかっこ良く言いたいなってちっちゃい頃から思ってたんですよ。それこそ樹くんじゃないけど、難しい感じの言葉で言いたかったんですよ。
――いやあ、それはどうかなあ
羽生:最終的に「オリンピックで金メダル獲りましたけど、感想は?」って聞かれて、「悔しいです」って言って帰りましたもん。

――あの時のやつね。そっかそっか。でもいいんじゃない、その方が。
羽生:僕らしさが残って良かったかなあとは思ってるんですけど。
――あの、ちょっと待ってその前に。俺は別に町田くんの言葉を否定しているわけではないけど
羽生:でも、否定的な感じで言いましたよね?
――まあ、本人にね、あれティムシルやったっけ?
羽生:汽水域の如くなんちゃらかんちゃらって言ってて。
――それでいろいろみんなはてなマークがあるし、本人に直接言われへん感じが見えたから、前に久々に会った時に「おまえ何言うてんの?あれどういうこと?」って言ったら、あいつも真面目やから、最初から全部説明してくれるねん
羽生:何分かかりましたそれ?
――だから途中で切ったよ、「いや、大丈夫やわ」って
羽生:元からそんなにしゃべる選手じゃなかったから僕も最初びっくりして。でもなんか、あれが彼なりの集中の仕方っていうか。そういうのもあったと思いますし、そういうのを聞くとなるほどなって。

ソチ五輪金メダル獲得後

――獲ってみて、なんか、どう?
羽生:もっといろいろ変わるかなって思ったんです、自分の心境とかスケートに対する思いだとか。試合に対する緊張感とかもっと自信ついて、何か変わるかなって思ったんですけど、変わったのは周りと僕のスケジュールだけで。試合に対する気持ちとかは変わらなかったですね。
――それが良い方向に全部行ったんやね
羽生:あとは、いつも思うのはそのフリーがあまり良くなかったっていうか、自分の中では課題が残ってしまう演技だったので、それがまた良かったなと。自分がこれから競技を続けることを見据えた上で、あそこでパーフェクトで、燃え尽きなくて良かったなって思ってます。
――いつでも挑戦をするタイプなんやね
羽生:ですね。なので、逆になんか過去がどうのこうのっていうのに引きずられやすくはあるんですね。例えば「パリの散歩道」を2年間やらせていただきましたけど、最初の大会でノーミスして、ノーミスが3回くらい続いた後に逆に跳べなくなっちゃった時期があって。前の試合では跳べたから大丈夫、このプログラムなら絶対跳べるからみたいな感じで緊張を紛らわす時があるんですね。だからそれに引きずられるとだめなので、オリンピックによってさらにもっと自分の今の演技に集中しなきゃいけないなっていうのはすごく感じさせられました。
――すごいなんか深いなあ。深いなの一言で済ますのは悪いけど(笑)。トップでいることっていうのは大変やん。だからまあ言葉ではなかなか難しい
羽生:オリンピックのチャンピオンになって、次のシーズンってすごい期待はされてたと思うんですよ。そのすごい期待の中でどうやって滑っていくかって考えた時に、やっぱり最初の試合でアクシデントはありましたけど、その前のショートプログラムではそのプレッシャーに押しつぶされてた感じはあったんですよ。後半に4回転入れるって言って、3回転になってしまいましたし。自分が過去に何々だからみたいな、そのもちろんオリンピックで金メダル獲ったっていうのもあるし、ファイナルとか世界選手権で3つ獲ったっていうのもあるし。それに全て囚われてたっていうところはあるなと。その囚われてること自体に罪悪感を持つっていうこともあるなって思ってて。もちろんその試合試合で勝ちたいなって思う部分もあるんですけど、勝てば勝つほど追われる立場っていうことを意識するので、そこがまた難しいところなのかなって去年思いました。
――はあ~
羽生:コメントしづらいですよね。

――いやいや、やっぱりみんなちゃんと考えなあかんなって
羽生:多分これは僕自身しか経験できてないことだと思いますし、4年に一度の舞台で金メダルを獲るっていうのは並大抵なプレッシャーではないと思うんですよね。その大会もだし、そのあとずっと続く称号なので、それとどうやって向き合っていくかっていうのがこれからの自分の一番の課題かなって
――がんばって。なんかあったら連絡して。たまにやっぱり楽にならないと、リラックスしないと。集中したら良いっていうけども、これって視野が狭くなってしまうことがあるから。楽に
羽生:でも、意外と一般的な考えとしては賢二先生も持ってるかもしれないですけど、僕スケート一途みたいなイメージありますけど、意外とそんなんでもないんですよ。
――だってしゃべってる時、あんまりスケートの話せえへんもんね
羽生:しないですね。
――大体イヤホンの話と。これからもっとジャンル増やしていったり。ハマったらハマりすぎるもんね
羽生:1個ハマるとそれしか手を付けられなくなるんですけど、けん玉とか。
――ずっとけん玉やってたよね。それにつられてみんなやる。去年のアイスショーの控室とか全員静かやったよ
羽生:カチカチカチカチやってましたね。
――たまに俺が行って、俺もやりたいってやって、でもできへんやん。そんなのもできないんだなって、笑いじゃなくてみんながこうやって
羽生:冷たい視線(笑)。でもこないだなんかやってた時、3回くらいやったら「もうええわ」って(笑)。
――いや、なんかね。いやそんな話ええねん

羽生結弦選手エピソード 2

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ダブルアクセルはいつ跳べた?

――ダブルアクセルっていつ跳べた?
羽生:3年生の終わりくらいに跳べてたのかな?
――え、マジ?
羽生:小4だっけか?3年生で跳べてるよね?というくらい自分で覚えてないんですけど。初めて全日本ノービスに出させていただく時に、やっぱりダブルアクセル跳べないと話にならないので、かなりダブルアクセルというものにはこだわりはありました。それにその時教えていただいてた都筑先生が「アクセルは本当にキングオブジャンプじゃないけれど、アクセルが跳べないとこの先何もできないから」って。自分の練習時間が結構あったんですけど、ほんとに4分の3くらいずっとアクセルに費やしてましたね。
――スケート始めて大体どれくらい?
羽生:シングルアクセル跳べるのも異常に早かったみたいで、なんかびっくりされてたみたいなんですけど、自分はちゃんと覚えてないんですけど。
――やっぱあれやわ、変やわ
羽生:アクセルは変人だと思います、ちょっと。それくらい好きなんですよ、アクセルは。特別感あるじゃないですか。
――ダブルアクセルからトリプルアクセルになる時は、何かこう変えたとかこだわったとかあったん?
羽生:多分、根本的には変わってないと思います。僕自身すごくイメージを大事にするタイプなので、初めてダブルアクセル跳べた時は姉の見てて跳べたんですけれども。
――え?見て跳べたの?
羽生:そうなんです。ずっと跳べなくて跳べなくて、まあ跳べない期間も人よりは短いと思うんですけれども。その姉が跳べてるジャンプを絶対跳んでやるみたいな。あとこうやったら跳べるんじゃない、みたいな感じで跳んだのは覚えてます。トリプルアクセルも同じなんですよね、その浅田選手が全日本の合宿の時にいて、その時に、浅田選手あんなに細いし、あんなに華奢な体っていうか筋肉とか使わなくても跳べるんだって思って。じゃあ僕も跳べるよねって思ってやったら跳べたので。

――あれなんか2回目か3回目で跳べたとかなんかじゃなかった?
羽生:あの時は、練習で多分3回目くらいで跳べてます。2回目でステップアウトかなんかして、「あ、跳べる!」って思って、練習時間ちょっと1分2分くらい押したんですけど、跳べました普通に。
――いや、おかしいって
羽生:まあそのあとアクセルが跳べない時代がすごく長かったんですけれども。
――あ、そうなん?
羽生:1年くらい結局きちんと決まらなかったと思います、試合で。

取り組んでいる新しいジャンプ

――今取り組んでいってる新しいジャンプみたいなのは?
羽生:一応ルッツは一発だけ。ルッツ1個だけまぐれで降りたんですよね4回転。
――俺その場にいたよ
羽生:ですよね、あのすごいギリギリのやつ。くわーってなったやつ一発だけ降りたんですけど、あれから練習はあんまりしてなくって。まあ試合もありますし、何よりトリプルルッツ、トリプルトウの確率が低すぎて。まずそっちを大事にしなきゃなっていうのと、あとは曲によって僕ジャンプのタイミング変わっちゃうんですよ、結構曲聴いちゃうので。例えば、昨年やったバラードなんかは曲が3拍子だし、ゆったりのところと緩急がすごいあるんですよね。その緩急によってのジャンプのタイミングのずれみたいなのがあって、ちょっと跳びにくかったかなっていうのは思ってます。
――確かにストレートのジャンプとカーブのジャンプって、曲によって違うよね。
羽生:違います。
――4回転ルッツ跳んだあとさ、でもちゃんとトリプルルッツやっとかなあかんかったやん、練習で。その時の「感覚がわからん」って、「トリプルルッツ跳べない」って言ってたもんね
羽生:言ってました。
――感覚って全然違うんやね。
羽生:そうですね。あとそういう話で言うと、僕ダブルアクセル跳べないんですよ今。トリプルトウループもすごく難しいんですよほんとは。
――あ、そうなん?
羽生:はい。なんか僕、手ぇ広げてダブルトゥループとかやるじゃないですか。だからトリプルやる機会がほとんどないんですよね。もうそのあと、ダブルやったあとに4回転やるので、トリプルトウループめちゃくちゃ下手なんですよ。で、アイスショーかなんかのグループナンバーで、ダブルアクセルを跳ばなきゃいけなくって、何回か前にコケそうになりました。

――ダブルアクセルの感覚はないんや
羽生:ないんです。すごい空中姿勢で。
――できるだけ軸を緩めて
羽生:そうなんですよ。
――それは着地も怖いね

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ジュニア時代の思い出

――じゃあジュニア時代の思い出というか苦労話とかある?
羽生:世界ジュニアに1年目出させていただいた時に、13位だったんですけれども、1人で出場して絶対に枠1人でも増やしてやるって思って行ったんですね。それで一枠しか結局取れなくてっていうしんどかった思い出はあります。
――結構悔しかった?
羽生:結構じゃないですね。もうものすごい悔しかったです。もともと結構練習時間が少ないタイプで、世界ジュニアに向けて追い込んだんですね、ちょっと時間を増やして。その時に腰を初めて痛くしちゃって。で、一週間前にもうシングルアクセルも跳べない状態で。まず起き上がれなくなっちゃって、その状態で挑んだ世界ジュニアだったので、かなりその頃の自分なりにケガしたことというか、そういう状態になってしまったことが悔しかったですし、そこで全くもって自分の力が発揮できなかったことも悔しかったなと思ってます。
――まあでもその経験がやっぱり今生きてるんやろね
羽生:そうですね、あの頃の思い出はものすごく生きてると思いますし、あの頃自分に言い訳してた部分があって、腰痛いから仕方ないよねみたいな。例えば捻挫してるから仕方ないよねって。そういうことをすごく自分の心に言ってたというか、もちろん周りにも言ってたんですけど。そういう経験から僕は言い訳を絶対したくないなっていうのが身につきました。
――かっこええな

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い訳している選手に強い選手は居ない

羽生:言い訳してる選手ってほとんどいないんですよね強い選手で。どこどこが悪かったからとか、リンクがこうだったからとか。
――確かにね
羽生:そんなこと言ってたら何も始まらないし、それは自分の実力の向上にならないじゃないですか。どんな状況でも跳べる人はいるわけなんで。浅田選手なんて骨折しながらやってたりもしてたじゃないですか。それをメディアとかに自分から発信することは絶対なかったと思うので、そういうことって大事だなって思ってます。
――どうしたん、かっこええやん
羽生:かっこいい人誰かいらっしゃいました(笑)?
――世界ジュニアで優勝したのがオランダの時?その時はどうやった?
羽生:その時は、もちろんその前の世界ジュニアの時の悔しかった気持ちがあって、かなり練習を積んできたっていうのもあります。その前の世界ジュニアで負けた時っていうのはちょうどオリンピックがあった年だったんですよ。だからポイントを稼ぐためにシニアの選手がザーッておりてきたんですね。それで悔しかった思い出もあって、だからそのシニアで通用している選手に勝ちたいみたいな。その頃デニス・テン選手はもう世界選手権なんかにも出てたんですけども、その選手にも勝ちたいという気持ちで世界ジュニアにも臨んだのは覚えてます。もうあの時は、枠とかそういうのは全然気にしなかったですね。まあその前にファイナルも優勝できてましたし、GPも1回も負けませんでしたし、あのシーズンは1回もジュニアで負けてないので。
――すごいな
羽生:ただフリーとショートのバラつきはあったんですけど、もとから僕ショートは苦手だったので。ショート全然跳べなくてフリーでなんとかっていう形の方が多かったんで、もちろんその世界ジュニアもショートで3位だったんですけどれども、フリーでアクセル2本決めて1位っていう形で。ほんとに自分の得意な勝ちパターンでいけたなっていうのは覚えてます。

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ニアデビュー

――そういうジュニアでいろいろあってシニアデビューした時に、いきなり四大陸で銀メダルやったやん。あの時の心境っていうのはどうやったのかな?ジュニアとシニアの違いとかさ。
羽生:まず四大陸に行くまでの間に、かなりシニアってこんなに大変なんだなって感じてたんですよ。多分人よりもその期間が短いのかもしれないですけど、人よりもかなり濃密にその時間を過ごしたなっていう
――一番最初のシニアの試合ってなんやったん?
羽生:NHK杯です。NHK杯で初めて出場して、初めて組み込んだ4回転決めてるんですよ僕。名古屋なんですけど。それで、悪い意味で言えば調子に乗った。
――調子に乗ったん?
羽生:乗りました、あの時。「あ、4回転跳べんじゃん」って。でも確率ものすごい低いんですよ、今の4回転ループよりも低い状態だったので。ほんとに1ヶ月やってて何本跳べるかみたいな。それを決めちゃったんですよ。そしたらちょっと練習に対する気持ちだとかそういうのも変わってきちゃって。で、次の試合良くなくて、「ああやっぱりこれがシニアの難しさだな」みたいなことを感じて、またさらに練習しても跳べなくてっていうのを繰り返して、最終的には四大陸でって感じでした。
――その時はやっぱりうれしかった?
羽生:四大陸はうれしかったですね。もちろんさっき言ったように4回転跳べたという意味では、そのNHK杯までの貸しみたいなものまではならなかったかもしれないですけれども、やっぱり今シーズン頑張ってきて良かったなというか、これで報われたなって。じゃあ来シーズンもっと上行けるなみたいな。
――ほんまにこうちょっとずつでも成長していくっていう感じで
羽生:はい、気持ちはありました。四大陸もある程度のきっかけですね、自分がもっと上目指さなきゃいけないなと思って。

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印象に残っている試合

――じゃあその全部を考えて、一番印象に残った試合っていうのはどれなん?
羽生:オリンピックかって言われたらそんなことないんですよね。なんだろうなあ。良い意味で考えたらやっぱり僕が初めて出た全日本ノービスですかね。
――その時はなんで思い出に残ってんの?
羽生:初めて全日本ノービスに出て、その時めちゃくちゃワクワクしてたんですよ。もう緊張なんかしてなかったんですよ。試合が楽しくて楽しくて仕方なくて、その頃の練習量もすごかったので、もうミスをする気配すら感じなかったですし、小学校4年生ですよ?小学校4年生ながらに、絶対勝てると思ってたんですよ。その時まだ6.0方式なんですけど、それこそ世界選手権だとかGPだとかそういうものを見てて、5点台っていうのはその選手たちが出してる得点だったんですよ。ただ僕、その試合でプレゼンテーションで5.2が1人だけ出てたんですよ。もうめちゃくちゃうれしかったのは覚えてます。
――いや、そこで5点台はすごいでしょ
羽生:びっくりして、「俺世界選手権で戦える!」とかってちょっと思ってたんですよその時(笑)。小学生から。
――なんか結構小学校時代にいろいろ作ってきてるねんね
羽生:作ってますね、僕。人生設計がだいたい変わってないんですよ小学校の頃から。で、そのとおり動いてるんですよ今。
――はあ~
羽生:だから、僕ソルトレイクのオリンピックを見た時に絶対金メダル獲ってやるって思ったんですけど、それが7才とかなんですね。その時からずっと思ってましたもん。19才のオリンピックで優勝して、もう1回オリンピックに出てもう1回優勝するっていうのが僕の今までの人生設計で、絶対に次のオリンピックで2回獲って、2回獲ったらそれはもう伝説的になるから。その時からずっと思ってましたもん。
――やっぱあれやわ、変やわ
羽生:変ですね。でも絶対金メダル獲れるとは思ってなかったんですよ。獲れるとか獲れないとかじゃなくて、獲ってやるって気持ちが誰よりもあったと思います。
――もう獲っちゃったしね。ほんでもう1個っていう
羽生:狙わないと意味がないですよね。だってそれが今スケートやってる一番の大きな理由だと思うので。
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羽生結弦選手エピソード 3

東日本大震災


――地震があって、俺なんかが言葉にするようなことじゃないんやけども、それがあったことで何か影響とか自分の心というか思ったことの話をちょっとしてもらえたらなと思って
羽生:あんまりきっかけとかプラスっていう表現は使いたくないんですけれども、そのプラスマイナス関係ない話としてきっかけっていう言葉を使いますけど。震災があったことによって表現しようと思う気持ちっていうのはその上限も下限もかなり広がったなというのもありますし、あとはスケートに対する想いというか、スケートをやっている意味、またスケートのみならず羽生結弦という存在。僕自身が感じている普通の羽生結弦と、スケーターとしての羽生結弦と、被災地代表としての羽生結弦とそれぞれいろんな羽生結弦像があって。じゃあそのどれを信じたらいいんだろうみたいな葛藤もありました。

――“花になれ”ってやってたやん。あれは振り付けは振り付けなんやけども、良かったよね
羽生:あれが多分初めて僕が日本語の曲で滑ったものだと思いますし、初めて賢二先生に振り付けてもらったものですし。震災前のやつなんですけど、今もずっとやろうと思えるのは、僕自身その歌に救われたっていうのもあるし、歌詞の意味を考えた時に、僕の辛い経験とかをリンクさせることもできますけど、僕がその辛いことから乗り越えたみたいな表現をすることによって、その歌詞を皆さんが自分自身と照らし合わせたりだとか、または他の方を思ってそれをリンクさせたりだとか、そういうことをして頂けるプログラムだと思うので、非常にまだ大切に滑らせて頂いてます。

――それ以降すごい活躍になってきた。で、その時はどういう気持ちで試合に挑んでたかな?
羽生:最初は嫌でした。やっぱり被災地代表じゃないけれども、もちろん津波の被害にもあってないし原発の被害だって仙台は放射能に関してはそんなに注目されてないんですけど、その中で「自分はただ好きでスケートやってきたのに、なんでこういうものを背負わされなきゃいけないんだろう?」という気持ちもあったと共に、「でも僕にしかできないことなんだよな」っていういろんな思いもあって。だから最初のうちは、「僕は被災地代表としてではなくて、日本代表の1人として、羽生結弦としてこれから挑む試合に出ます」って言ってたんですね。ただ、そこからいろいろ試合を経て、たくさんのお手紙とかを頂いて思ったのは、今もすごく大事にしてることなんですけど、僕が被災地に近いとか、仙台も津波で被災した地区もあるんですけど、そういう所からがんばること、そういう所出身の選手ががんばることによって、より何か元気になって頂ければ、何か心が動くような演技ができれば。そういう思いを持ってやってたのが、その手紙とかをいろいろ読んでたら被災地の方々からエールを受けてて、逆に支えられてるというか。もちろん被災地の方々じゃなくても日本全国の方々から。
それがオリンピックまでずっと続いたと思いますし、自分が好きなことをやって、結果を出そうと勝ちたいと思ってることが、皆さんにこれだけ支えられてるっていうのをその時非常に強く思いました。でも一番大事なことだなと思います。誰かの為にやってるっていうのも非常に大事だと思うんですよね。
それが例えば自分が手紙出したからって、僕が直接手紙の分うまくなるわけではないし、結果が出るとかそういうわけでもない、それでもそういう気持ちが僕を通して1つになれるっていうか。震災のことでそれぞれ原発のことで悩んだり、津波のことで悩んだり、それこそ地震で家が壊れてしまって住めなくなった方もたくさんいらっしゃいますし。そういう孤独になった方々も含めて、西日本と東北・東日本というものが自分を通して1つになれる。一番その頃っていうか今もですけど、オリンピックで金メダル穫れた時も、嬉しかったなって一番思えるものだと思います。

――最初に神戸に来てくれて滑ってくれた時に、やっぱりみんな涙流したし、良かったと思う
羽生:賢二先生も非常に辛そうな表情されたのは覚えてますけれども。あの時は“白鳥の湖”をやって、今でも鮮明に覚えてるんですけども、あれが今の僕のスケートをしようと思った原動力ですし。
――あれは素晴らしかったと思う
羽生:多分これから一生あの演技はできないと思いますし、あの時の自分の気持ちだからこそ表現できた、暗い所から飛び立っていくというのを込めた表現だったので、あれは自分の中でも特別ですね。あそこで僕がもし神戸に呼んで頂けてなかったら、多分ほんとにスケートをする時に絶対考えてたと思うんですよ。「自分がほんとにスケートしてていいのかな」って。あの神戸に呼んで頂いたおかげで、本当に思ってますこれは。
――ありがとうございます
羽生:とんでもないです、こちらこそ。

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2012年世界フィギュア

――世界フィギュア初出場で、3位。どやった?
羽生:自分にとって世界選手権ってすごく特別な場所で、自分が小さい頃から憧れてた選手がそこで激しい戦いをしてたというか、夢の舞台でもあった。そこに立ってそこで表彰台に上がるっていうことは、ほぼ夢が叶ったのと同じような体験だったんですね。すごく嬉しかったのは覚えてます。
――もう、「キャー!」みたいな感じ?
羽生:「キャー!」ですね。でもその時ショート悪かったんですよ。ショートが7位で、最終グループ入れなかったんですよ。4回転2回転になっちゃって、そのあとトリプルアクセルも微妙で、ルッツもパンクしてるんですよ。またルッツかみたいな。ショートへたくそなんですよ僕(笑)。
――それはなんなん、緊張してしまうの?
羽生:わかんないんですけどね、ショートの方が簡単だとは思うんですけど、ショートへたくそなんですよ。
――あれやって、言うたやんこの前も。考えすぎやって
羽生:考えすぎは結構あります。ただなんか、感覚とリズムと理論をうまいバランスでうまい具合に組み合わせなきゃいけないっていうのが僕の考えなので、そのバランスが例えば1:1:1だったら、それが1:2:0.5とかになるともうバラバラになりますよね。
――そうなんや。その頃にカナダに?
羽生:世界選手権3位になったのをきっかけに、カナダに拠点を移しました。
――で、ブライアンに教えてもらったと
羽生:はい。

<練習環境の重要度


――どうでもいい話なんやけど、俺高校の時にブライアンさんにアクセル教えてもらってるからね
羽生:アクセル?
――アクセルじゃなかったかな?
羽生:シングルだったんですよね。
――その時はまだシングルやったんやけど。そのカナダ行って、クリケットでしょ?クリケットクラブの下のナチョスおいしいでしょ
羽生:食べてないですね。
――あ、食べてないの?
羽生:下にあります?
――今もあるんかな?作りは一緒やと思うけど。前にめっちゃデカイ芝生あるやろ
羽生:はい、クリケット場が。
――クリケット場、あそこでいっつもフリスビーしてたんやけど
羽生:フリスビーかい~(笑)。
――ナチョス食べてフリスビーしてて、もちろんちゃんと練習もしてたよ
羽生:あそこほんと良い環境ですよね。カナダ、特にクリケットは僕が選んだっていうのもありますし、選手のためっていう感じがものすごくありますね。もちろん会員制で結構VIPな方々とかいらっしゃって、テニスもありますしジムもあるし、いろんなことができる施設ではあるんですけれども、そういう環境の中で練習できる自分ていうのは小さい頃は想像もできませんでした。僕、リンクが2回なくなってるんですよ、ホームのリンクが。勝山に移る前に泉のリンクでずっと練習していて、そこが経営難で潰れてしまって。その時に勝山に移ってそれからまた復活したんですけど、荒川さんがトリノで金メダル獲ってそこでトリノの会見で言ってくださったので。それで県とか市が動いてくれて、それでまた復活して、でもそのあとにまた震災があってなくなって、ということを経験しているので、練習環境のありがたみっていうのはものすごく感じてるんですよ。だから、これだけ練習に集中もできて、アップも自分がしたいようにできて、クールダウンとかもそうですし、トレーニングに関しても何でもできる施設なので、ほんとに練習環境って大事だなあと今ものすごく痛感してます。

――フリスビーもしたらいいよ
羽生:フリスビーはしないです。
――ああそう。なんでまたブライアン・オーサー氏になったん?
羽生:やはり、練習環境を求めたっていうのもかなり大きな要因ではあるんですけど、ブライアンというよりも僕は結構合宿とかアイスショーだとか試合の公式練習とかで上達することがものすごくあるんですよ。
――そうなんや
羽生:例えばアイスショーの練習中に4回転初めて跳べたりだとか、今までの4回転はブライアンか誰か先生に見てもらったとかじゃなくて、アイスショー中に跳べてるんですよね。で、トリプルアクセルも合宿中に跳べてるんですよ。そういう、ライバルじゃないですけど良いお手本がいる中でやりたいということを考えた時に、ちょうどその前の年に急成長してたハビエル・フェルナンデス選手がいる環境に行きたいなと。その環境に行けば、必然的にそのハビエルのジャンプが確率高くなった理由だってわかると思いますし、それにつられて自分が練習できればもっとうまくなれるなと思って。
――負けず嫌いやもんね
羽生:そうなんですよね。ショーでもめちゃくちゃ負けず嫌いですもんね。

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仲の良い選手は?

――じゃあさ、ハビエルとかナム(ナム・ニューエン選手)とかいるけど、なんかおもしろ話とかある?
羽生:なんですかね、ハビとナムは結構いろんなことして遊んでるんですけど、僕はそれを見て「俺は遊ばねーぞ」って言って練習してる感じはあります。
――そうなんや
羽生:そういうこともあるし、あとは競争とかはしないですけども。これはあんまり面白くないかもしれないですけど、ハビが例えば練習でフリーをノーミスしたとします。そういう時に限って僕が調子悪かったりするんですよ。結構やるんですよ。そういう時、基本的にコーチが慰めてくれるんじゃなくて、ハビが慰めてくれるみたいな。で、逆もあるんです。ハビエルがすっごい調子悪くて、僕がめちゃくちゃ調子良かったりしてると、コーチが慰めるというよりも、僕とかナムとかが「大丈夫だから。跳べてたじゃんこないだ」みたいな。
――ほんとにこう良いライバルでもあるし、仲良いし
羽生:そうなんですよ。
――じゃあ他に仲良い選手とかいるの?
羽生:いますいます。ただ、名前言っても多分わかんないですよね。
――いや、俺わかると思うよ
羽生:多分わかんないと思う。
――誰誰誰?ほら俺クリケット行ってたから
羽生:いや全然世代が違うじゃないですか(笑)。ここまで否定すると結構傷つきますよね。
――いやいや。誰ほんま?
羽生:うーん。て言われるとあんまりいないのかなあ?でもそんなにクリケットでキャピキャピしてるタイプじゃないんですよ僕。
――あんなにいつもキャピキャピしてるのに?
羽生:日本ではあれになるんですけど、日本だからこそなんですよ。やっぱり練習環境じゃないから。
――もうあそこは自分の練習を集中させる場所なんだ
羽生:結構スケートに対して本気でのめり込んでる時の人格と、他のことやってる時のオンオフがすごい激しいんですよね。
――あ、それはわかるよ。振り付け中でもさ、ちょっと復習しといてって言った時あるやん。で、次に声かけようとする時に、たまに声かけにくい時がある
羽生:本気でやってますからね。集中に入り込む時と、スケートにのめり込んでる時と、例えば同期がいて楽しい時とか、信成くんとめっちゃおもしろい話してたりとか、そういう時のテンションの差はものすごい激しいです。
――移動中のバスとかでノブといつもはっちゃけてるよね
羽生:はっちゃけてますね。基本的にノブくんがはっちゃけてるだけなんですけど。
――いやそうでもないよ?
羽生:そうでもないですか?最近なんかツッコミが強くなってきたんですよね。なんかノブくんが別にボケてるわけじゃないんですけど、ツッコまれるようなことばっかりしてるんで。
――で、ツッコんであげるん?
羽生:ツッコんであげる。あげてるわけじゃないですけど。ツッコまないと耐えられない。
――そうなんや。まあ今度そこに俺も混ぜてよ
羽生:だいぶ混ざってると思う。でもなんか「もうええわ」みたいな顔してる時もありますよね。
――そんなことない。でも移動中のあのバスって楽しいよね
羽生:楽しいですね。

羽生結弦選手エピソード 4

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飛躍の12/13シーズン

――(コーチを)ブライアンにやってもらっていて、どんどんいろんな試合がありました。まずは四大陸があって、全日本は初優勝でした。そこからのグランプリでしたね
羽生:グランプリの年にブライアンに変わって、その年のグランプリ一戦目でショートで世界最高得点を出してるんですね。それが大きかった。それで名前が売れた。
補足)SP世界最高得点(当時)
95.07@GPカナダ 95.32@NHK杯
――いや、名前はもう売れてたけどね(笑)
羽生:自分でもびっくりしました。衝撃的でした。ショートでジャンプの内容は完璧だったかもしれないけど、うまくできてないこともけっこうありました。納得もしてない状態で「90って、え?!95って?!85じゃないの?」って。すごいびっくりしました。
90っていうと当時、パトリック選手がノーミスで92、3の時代でした。90なんて出したら異次元だったんですが、出ちゃったのでびっくりしました。
――出ちゃったんだ
羽生:出ちゃいました。そしたらフリーがボロボロになりましたけど(笑)。
――前と逆に
羽生:そうなんです。その年からショート得意、フリーボロボロのパターンになってきました。
――でも、先シーズンのショートが一番良かったのは、最後の最後のエキシビションの時だったでしょ?
羽生:そうですね。エキシビションで初めてノーミスでした。そのシーズン、エキシビション以外ノーミスがなかったんですよ。
――(笑)
羽生:グランプリファイナルのフリーもあともうちょっとだったのに、ルッツの前にめっちゃ疲れてて、跳べる気がしなかったですもん。

とりあえず基礎点


――跳べる気がしない時はテンション的にどう持っていくの?
羽生:とりあえず跳ぼうみたいな。とりあえず基礎点もらおうみたいな(笑)。
――基礎点大事だよね
羽生:中国杯の時もアクシデントがあって、パンクしたらダメだから、とりあえず回ろうみたいな。コケてもいいやと。コケてもとりあえず回って、マイナス3されようが、ディダクションつこうが、マイナス3でディダクションが一つついても、マイナス4点くらいですよね。
4回転サルコウを跳べば10.5なので6はもらえるわけです。じゃあそれを跳び続けるしかないなみたいな。
――基礎点大事だね
羽生:大事です。

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14年GP中国 6分練習での激突

――聞いていいかわからないけど、ぶつかってしまった時は大丈夫だったの?
羽生:車椅子で帰らないといけなかったくらい、足が動かなかったですし。自分でも不思議なんです。あの時なんで4回転回れたのか。なんで4分半あれだけ滑れたのか不思議でしょうがないんです。
――どこかで基礎点と思ってたんじゃない?
羽生:(笑)。基礎点はしっかり考えてました。絶対回れば点数は取れるから。回るだけ回ろうと思って。アクセル一本くらい決めようと思ってました。

14年GP中国 衝突後の状況

――(切ったのはあご下を指して)ここ?
羽生:こっちが一番(切って)大量出血しました。ここが一番パカーっと開いて出血してました。こっちも(頭側部)出血してたんです。頭の横のところを、相手とぶつかった時にさっくりいったのか何なのかわからないですが。
――血はすごかったけど、こっちはそこまで
羽生:そうです、後ろとかは切ってないんです。(あごは)氷に打ってしまいましたが。それだけですみました。(切った頭は)カッといってしまっただけなんで。
――頭は大丈夫だったと
羽生:脳みそが揺れた感覚はなかったです。揺れたことは過去に何度かあると思うんですが。そういう経験が。

14年GP中国 あの激突の真相

――気をつけてね。じゃあ中国杯でぶつかった時は
羽生:頭は大丈夫でした。とにかくあの時スリーターンしてたので、左足でフォアのスリーターンでした。左足でバックに差し掛かる時に、ちょうど相手選手のまっすぐきた膝が(僕の内側に)ここに入ったんです。
そのまま左足で滑ったので、抜けたんです。だからどうしようもなくて。このまま抜けたから、(右足は)ついてないですし、「あ、どうしよう」って。頭も痛かったし、ああヤバイと思って(お腹から)いきました。
一番最初はお腹に入って、お腹が痛くて痛くて仕方なかった。スケーターはみんな誰しもが経験することなんですが。 前にいっちゃうんです。ちっちゃい頃に絶対あります。しかもトップスピードで。ガンっていって、みぞおちが痛くて息ができない状態。アレの20倍増しくらいの痛さでした。
――想像できないわ!だから動けなかったんや
羽生:最初は意識があって立とうとしているんですよ。立とうとしたんですが、みぞおちが痛すぎて、筋肉も収縮しちゃって背中を起こせなくて、ずっと屈んだ状態で。この状態もしんどかったので、とりあえず横になって。
レフェリー笛ならしてくれないなあって思いながら、みんな練習してるなあ、でも痛いなあとか思ってたのを覚えてます。中国のドクターチームが来て、担架を持ってきてくれたんです。大丈夫?歩ける?って言われて。「いいよ、そんなんいらんし、普通に出るし」ってやってました。
――頭じゃなくてよかったね
羽生:頭じゃなくてよかったですね。あれはみんなに出血がこっちからこっちまであったんですが、(頭部の方は)出血はあったんですがそれほどでもなかったので。こっち(あご下)の方の出血がひどかったので。

一番辛かったのはシットスピン

――(相手とぶつかって)筋肉にあたった
羽生:筋肉が持って行かれた感じだったので、肉離れみたいな痛みでした。ここって痛いじゃないですか。なんでも使うので、ジャンプよりもシットスピンが地獄でした。
――(笑)
羽生:結構意識ありますね。あの試合。
――そうやね。シットスピン痛そうやね、もも痛いのに
羽生:シットスピンって我慢しなきゃいけないじゃないですか。
――降りる時の足がね
羽生:シットスピンは地獄でしたね。だから覚えているのは、サルコウで転倒して、トリプルで転倒して、フリップを降りて、コンビネーション・スピンに入るんです。その時にシットスピンやりたくねー、シットスピンやったら立てるのかな?って思ったのは覚えてます。
――シットスピンのままシットという
羽生:座っちゃう的な
――俺はウケを狙って言ったわけではなくて
一同:(苦笑)

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苦手なエレメンツ

――苦手なエレメンツってあるの?
羽生:……ルッツ?!僕ほんとはルッツそんなにヘタクソじゃないですよ。
――知ってるよ
羽生:ルッツはそんなに苦手じゃないです。苦手な印象がついちゃったのはありますが。僕が一番苦手だったのは、昔はジャンプがほんとに苦手でした。
――全部?
羽生:全部です。ジャンプが全部苦手で。アクセルが好きだったので、アクセルばっかり練習してたのもありますが。全然跳べなくて、周りの選手は跳べるようになるし。
――負けず嫌いでしょ?
羽生:そう。昔はジャンプに対してすごく苦手意識を持っていました。それこそエレメンツじゃないかもしれないですけど、世界ジュニアの話にすると、ショートが苦手。フリーは得意だけど、ショートが苦手。でも“パリの散歩道”つくってもらって、ショート得意だけどフリー苦手になった。
――どんどん消していこう
羽生:何かしら成長すると、成長できてない部分が、苦手って思っちゃう。基本的に何かこれがダメというのはないです。時々不器用になりますけど。

理想のスケート


――いろいろな選手のを見て。自分の理想のスケートというのは?
羽生:理想のスケートというのは、フィギュアってアスリートっぽいジャンプやスピンの動きもあれば、スケーティングとか表現とかステップとか、バレエというかアーティスティックな部分もある。
それ全部をアーティストにするわけではないですが、全部をフィギュアスケートのプログラムとして完成させたいんです。いつも先生が振り付けする時に僕、言っているんでわかると思いますが、スピンだとか全部表現したいんです。
そして音に合わせたいんです。そうしないと気持ち悪い。そのジャンプの時もジャンプするまでのタイミングとか、そういうものは全部曲かプログラムの内容の中で、スケーティングから表現から切り離されないように意識してやっています。

羽生結弦×宮本賢二 14/15シーズンSP

――そういえばショートの最初
羽生:そうなんです(笑)。ジェフも目をつぶってたと思うんですが、緊張するからピクピクするんです。だからつぶらずに、(ジーっと)なってるんです。しかもイメトレしてるから。
その時間でトウループのことずっと考えていて。こうやったら跳ぶ、こうやったら跳ぶ、みたいな感じに。
――それを見て、あそこは目をつぶる方がかっこいいよっていったよね。
羽生:そこから目をつぶるようになりました。練習でも目をつぶるように練習してきました。
――俺が心配していたのは、目をつぶった方が曲にも合うし、ジェフも始まりをいろいろ考えているだろうけど、あれ15、6秒だっけ?
羽生:あれ17……15,6秒あります。
――それを目をつぶるって大変でしょ?いらんこと言わなければよかったと思って。目をつぶると感覚がわからないようになる。それを心配していました。練習でもやってくれてたならよかった
羽生:そうなんです。そうなると思ったので。試合だったら嫌なイメージしか思い浮かばないから、良くない時なんかは。目をつぶった時、曲が流れていて、このタイミングでこういってこう跳んでこう降りているっていうのを完全にインプットしました。曲が流れた瞬間にその映像しか流れないです。同じ尺で。
――そうなんだ
羽生:曲の一個一個の音が、これまでクロスをやってきて、イーグルに入って、トウループ跳んでっていう、一つ一つの動作が。振り付けではないですが、完璧に一緒になってます。
――こうやって目をつぶって立って、想像する。その想像が「あ、ヤバイ、しくった」ってなったら?
羽生:そういうふうにならないように完全に練習してました。イメトレをするための練習ですね。

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イメトレは振り付けと同じ感覚

――イメトレのための練習って面白いな
羽生:イメトレも本番の一つだから、振り付けと同じ感覚です。この曲の時にクロスして、イーグルして、ていうのがあります。その感覚とほぼ同じで自分の身体を動かしてないだけです。
脳みそはこの時に身体をこう動かしているというのを、完全に一緒になるように刷り込んできました。
――すりこんできたんや。あのプログラム本当にかっこいい
羽生:僕も大好きです。

賢二が思う 羽生結弦のスゴイところ

――いつやったかな。すごいなと思ったのは、スケーティングの練習をしてた時。こことここを注意してねと言ったら、ずっとやってたやん。
かなりリンクは寒いのに。汗だくでちょっとやってみたんですが、どうですか?って。そうしたらきちっと改善されてて。まだここが甘いかなって言ったら、それもまたずーっとやって。終わって、ちょっとやってみたんですが、見てもらっていいですか?って。
じゃあ今度はこうしようかって、ずーっとできるよね。
羽生:一つこだわり始めると止まらないんです。完成形にさせたいんですよ。何か一つを注意すればOKじゃなくて。ジャンプもそうですが、跳べればいいってもんじゃない。如何に綺麗に跳んで、如何に体力を使わないで降りれるか。
そこにすごくこだわるんです。スケートに対するこだわりというのは、人よりも強いと思います。表現やステップ、ジャンプ、スピン、そういう個々ではなくてすべてにおいてです。全部こだわります。

羽生結弦選手エピソード 5

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14年世界フィギュア

――オリンピックの後の世界選手権も見事優勝。でどうやったん?オリンピック金メダリストとして世界選手権、夢の舞台と言ってたところに出た時の心境は?
羽生:変わりましたね。意識しないようにしていたんですが、ものすごく意識していました。オリンピックで金メダル取ったし、ここから負けちゃいけないだろうみたいな気持ちもあって。日本開催ですし、絶対僕がとらなきゃという気持ちはありました。
――集中も半端なかった?
羽生:逆に集中してなかったと思います。意識するがあまり。そのシーズンでショートでミスをしたのは2試合くらいしかないんじゃないかな。3試合かな。フィンランディアと最初のスケートカナダと世界選手権だけなんです。
5試合連続でノーミスだったんです。なんですけど、その試合のショートプログラムの前は緊張しました。初めてオリンピック金メダリストとして出る試合だから。オリンピックで金メダルを取ったからといって、羽生結弦が変わるかと言われたらそんなことはないのに、変わらなきゃいけないみたいにすごく考えていた。勝たなきゃいけない。勝ちたいじゃなくて勝たなきゃいけないという気持ちだったんです。めちゃくちゃ緊張しました。

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番組からの質問コーナー

■ とっておきのリラックス方法は?
羽生:とっておきのリラックス方法。じゃあKENJI先生、とっておきのリラックス方法とは?
――いやいや、ちゃうやん(笑)
羽生:わかってます(笑)。くどくなりますけど、イヤホン(ヘッドホン)の話になりますよ。
――それはなしにしとこうか
羽生:僕本当に音楽を聞くのがめちゃくちゃ好きで。
――知ってる(苦笑)
羽生:振り付けや曲のこだわりにつながるかもしれませんが。良いイヤホンで音楽を聞いて、口パクでもその曲に浸るのが一番のリラックス方法ですね。
――なるほどね。それで電車でやったり
羽生:電車で口パクで歌ってたら引かれますよね。
――俺電車移動の時やるよ。あ、いいや(笑)
羽生:ここ使ってくださいね。

■ 一番最近泣いたことは?
羽生:一番最近泣いたことは?なんですかね。世界選手権で2位になった時はめちゃくちゃ泣きましたけど。それくらいですかね。結構泣き虫なんですよ。
――泣き虫なの?
羽生:意外と泣き虫で。しょっちゅう泣いてるんですけど、あんまり表に出さない。中国で2位になれて点数が出た時にびっくりして、こんなにもみんなが応援してくれたから。それこそ基礎点の話じゃないけど、ここまでなんとかしっかり回って点数が取れたんだという。
皆さんの力を感じて、わーって泣いちゃって。隣にブライアンもいたので、ブライアンの力も感じて。この状況でも僕のことを支えてくれたので。いろいろこみ上げて来てわーっと泣いたのを覚えています。あれが一番の号泣です。世界選手権は悔しくてでしたが。中国の時はヒクヒク泣いてました。
――それ映像ください(笑)

■ 人生最大の大失敗は?
羽生:人生最大の大失敗は?
――あまり言いたくない?
羽生:最大の失敗って思ったことがないです。
――そうなの?
羽生:そういうのはないですね。これだけしなければよかったみたいなことですね?ないですね。常にそういうことを考えているので。後悔はほとんどしないです。試合やショーの時にこうすればもっと跳べたのに、という後悔はありますけど。
これしたから人生に影響あるか。というのは考えたことがないです。それは全部運命だと思っているので。かっこいいこと言った(笑)。

■ 好きな言葉は?(座右の銘)
羽生:好きな言葉は?初心忘れるべからず。
――なんかいいね
羽生:これは僕がトリプルアクセルを初めて降りた時に、阿部コーチにiPodを買ってもらったんです。AAAという刻印がされていて。トリプルアクセルの意味ですね。その時に贈られた言葉なんですね。初心忘れるべからず。
トリプルアクセルが跳べたから、4回転が跳べたから。それによって、有頂天になるんじゃなくてちゃんと地に足つけて、これからもどんどん頑張ってねという意味だと思います。今も僕の座右の銘としてずっと残ってます。
――奈々美先生も素敵な言葉くれたね
羽生:浮かれるのがその頃多かったんです。
――さっきから聞いているとちょっとあったんだろうね
羽生:絶対とれるし、絶対勝てるしみたいな。そう思うことがありました。なので大事にしています。

■ 10年後は何をしていると思う?
羽生:10年後は何をしていると思う?何してますかねえ。
――30でしょ
羽生:おっさんじゃん!
――おいおい!おい何言うてるねん!見事なおっさんが横おんねん!
羽生:(笑)。言ってしまった。今のが人生で最大の失敗かもしれないです。
――(笑)。10年後何してる?
羽生:スケートプロとしてやっていますね。まだトリプルアクセルを跳んでたいという思いがあります。10年後も。それこそ10年も経ったらスケートを引退して、新しい活動をやるとか。もうちょっと自分の人生に、深みや重みがでてくると思うので、そういう自分の人生で得たものや、経験を伝えるお仕事につけたらいいなと思っています。
――全部ええことばっかり言うね
羽生:真面目に答えてますね。あ、でもさっきおっさんやん!って言ってしまったので。KENJI先生は自分の気持ちを振り付けとして、プログラムっていう形で伝えていると思います。
――ありがとう!そういうのいいよ!もっと言って(笑)

■ 理想の女性
羽生:理想の女性
――これはファンが聞きたいでしょう
羽生:理想の女性……好きになったらその人が理想でいいんじゃないですかね。ダメ?
――お前……俺もこれからそれ言うわ
羽生:本当にそう思うんですよ。理想とか言ってても、実際好きになったらちがったとか人とか結構いると思うんです。女の子って「お金持ちで~」とかよく言うじゃないですか。「かっこ良くて、背が高くて、ちょっと顔濃くて」とか。
――顔濃いかはあんま聞いたことないけど(苦笑)
羽生:自分のコンプレックスみたいな。薄すぎてコンプレックスみたいになってる(笑)。
――そう?
羽生:対照的ですよね。顔の濃さが。
――違うのよ、見て。俺ひげがなかったら顔薄いねん
羽生:なるほど。でもそんなことないと思います。僕より濃いと思います。
――いや、俺は爽やか系や
羽生:(笑)

■ 最高のご馳走は?
羽生:最高のご馳走は?これ言うと恥ずかしいし、怒られるかもしれないけど。母の手料理ですね。
――いやーん
羽生:本当にそう思います。手間が掛からなくてもいいんですよ。そこで手間が掛かっているからというご馳走の意味ではなくて。日々自分の健康を考えてくれたりとか、日々の練習の時に疲れをとったりとか栄養管理だとか。自分が一番食べやすい。
僕が食べることに興味がなさすぎるので。食べやすいとか好きな味とか一番わかってくださってる人なので。母の手料理が一番のご馳走だと思います!
――俺が選手にいつも言うてるのは、ちゃんと自分が感謝する人をわかっておきなさいと。

■ 一週間休みが取れたら何をする?
羽生:一週間休みが取れたら何をする?グダグダしますね。ひたすら家でゲームしているかネット見ているか、音楽聞いているか。
――インドア派なんやね
羽生:小さい頃そんなにインドアじゃなかったと思うんですが
――俺会ったのはもうちょっと大きくなってからやけど、結構走り回っているイメージがあったけどね
羽生:僕って潜在的なものはそんなにインドアじゃないと思うんです。ただスケートをやるのが早かったんです。4歳からで。そのせいでというのは、ちょっとおかしいかもしれませんが、スケート場で遊ぶのは普通でした。
――じゃあ一週間あったらひたすらぐでーっとするんや
羽生:そうですね。一人に浸りたいですね。一週間の間の半分は一人で、半分は家族とワイワイ楽しむ。それが自分の一番の理想です。
――今できてないものだから
羽生:でしょうね。そしたら一人で買い物とか街ぶらぶらとかしたいですね。
――せやろけど、今はちょっと無理やろね
羽生:そうですね。だからそれも込みで。

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■ 最近ハマっていることは?
羽生:ラスト。最近ハマっていることは?イヤホンです!
――そうかイヤホンか!というわけで、一つ目。こちらです。(SONYのヘッドホン)
羽生:テンアールじゃん。本当にいいんですか?
――もちろん
羽生:SONYのヘッドホン、CDR-900STというのを持っていて。型番で言うとアレですけど。スタジオモニター用のやつです。SONYのヘッドホン欲しかったのでめちゃくちゃ嬉しいです。
――喜んでくれたならいい!後半何言うてるか全然わからんかったけど
羽生:音声さんしかわからないと思います。

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――それともう一つ。広島カープのファンだと聞いて。こちら
羽生:おおっ!これはすごい!
――前田健太さん本人のサイン入りユニフォーム
羽生:これドッキリでマエケンさん来るとかじゃないんですか?
――前回マエケンさんに似ている人は来てたんやけど(笑)。着てみれば?
羽生:めっちゃ嬉しいです。
――入団(記者会見)みたいやん(笑)
羽生:超嬉しいです。
――メッセージをお願いします
羽生:興奮して言葉が出ないんですが、是非対談させてください。野球がほんと好きで。なんて言えばいいかな。今テンパっててちょっと出ないんです。マエケンさんのフォームとか体操もそうですが、いつも楽しませて頂いています。
これからも応援して頂けるというということで力強く感じています。これからも頑張ってください。超緊張した。

VTR)
前田:すごい喜んでもらえて光栄ですし、嬉しいですね。対談したいと言ってくれたので、僕も機会があれば是非お話ししてみたいと思いますし、ずっと注目しているアスリートの一人なので、テレビですけど応援しています。そして良い結果が出るように、注目していますので、刺激を受けながら僕も頑張ります。

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今シーズンの目標

――今シーズンの目標、抱負を教えて下さい
羽生:目標も抱負もないです!とにかくいつも思うのは、目標で限界を設定しているわけではないんです。僕はそうやって何かを決めてやりたいとは思わないんです。常に進化し続けなければいけないと思いますし、その時々に求められているものは違うと思うので。
今なら、スケーティングなのか体力かもしれない。シーズンが始まってきたら体力よりも表現だったり曲のとり方だったりスピンになるかもしれない。
だから常にいろんなことを考えつつ何が必要で、何をすべきか、どこを進化させたいのか。それを考えてやっていけたらなと思います。

 

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