2010.10.13 - 河北新報 - 羽生が挑む NHK杯フィギュアスケート シニア転向後初

羽生が挑む NHK杯フィギュアスケート シニア転向後初
河北新報 2010年10月13日水曜日

http://i.imgur.com/4ICwyFG.jpg
グランプリシリーズに向けて練習に励む羽生
 フィギュアスケート男子で昨季の世界ジュニア王者、宮城・東北高1年の羽生結弦(ゆづる)=宮城FSC=が今季からシニアに転向し、22日開幕のNHK杯(名古屋)でグランプリ(GP)シリーズにデビューする。習得に励む4回転ジャンプを武器に、15歳の若武者は東北から世界のトップがしのぎを削る舞台に立つ。
 練習拠点を置く仙台市のアイスリンク仙台。新たな挑戦を控え、銀盤上で熱のこもった最終調整に励む。3月の世界ジュニア選手権(オランダ・ハーグ)で優勝した直後はシニア転向に慎重だったが、今は「ジュニアに思い残すことはない。世界のトップに追い付きたい」と迷いはない。
 170センチ、53キロ。スラリとした体格と柔軟性を生かしたしなやかな演技で昨季、国内外のジュニアのタイトルを総なめにした。とはいえ、シニアはフリーの演技時間が4分30秒と30秒も伸び、ジャンプの難易度や精度は別次元の世界だ。
 「しなやかさだけではダメ。力強さも見せたい」。雄々しさを表現するため、高難易度の4回転ジャンプを取り入れた。筋力トレーニングは行わず、実際に使う音楽に合わせて演技を繰り返しながら精度を磨く。
 4回転成功には高さと速い回転が必要。失敗して何度もリンクにたたき付けられながら、少しずつ手応えをつかんだ。「最初はほとんど成功しなかったが、今は1日1本は成功するようになってきた」。猛練習で両脚の筋力が増し、ほかのジャンプにも好影響を与えているという。
 GPシリーズはNHK杯を皮切りに、国内外で6大会行われ、選手は2大会に出られる。羽生は第5戦のロシア杯(11月19~21日・モスクワ)にも参戦。獲得ポイントの各種目上位6人(組)による中国・北京でのGPファイナル(12月9~12日)を目指す。
 衣装はアイスショーで知り合った2008年世界選手権銅メダリストのジョニー・ウェア(米国)がデザインした。尊敬する偉大な選手の後押しを力に、「順位は考えず、自分のできることをやるだけ。全部の試合で4回転に挑戦する」と初陣に臨む。(原口靖志)