2015.12.17 - Number web - フィギュアを追い続ける写真家、能登直が選んだ羽生結弦のベスト演技!

同刊载于 「Number」892号

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写真は2012年当時の羽生。すでに4回転ジャンプもこなしていた。今季は「SEIMEI」で新境地を開いている。(能登直)

2006年からフィギュアスケートを撮り始め、『YUZURU 羽生結弦写真集』『My Way 安藤美姫写真集』などの写真集を上梓しているカメラマンの能登直さん。羽生選手のソチ五輪金メダル、2015年NHK杯322.40点の衝撃とGPファイナルでの更なる世界記録更新など、フィギュアスケートの第一線の現場に向かい、感動の瞬間を数多く撮影してきた。
 Number892号では、能登さんに今まで撮影してきた演技の中からベストを挙げてもらう「マイベストプログラム」のインタビューを行った。カメラマンならではの、選手の細かい表情や動きにまでこだわったプログラムは以下のとおり。

●羽生結弦 2011-12年 ニース(フランス)世界選手権FS 映画「ロミオとジュリエット」より

震災1年後の羽生結弦。
2012年、羽生結弦が弱冠17歳で初めて世界選手権に出場し、銅メダルを獲得した大会。東日本大震災後のシーズンだったうえに、試合直前には怪我もあった羽生。ショートでミスがあったが、フリーでは気迫あふれる演技を披露した。
「この日の羽生選手は本当に素晴らしかった。冒頭の四回転ジャンプを降りると次々ジャンプが決まる。途中なんでもないところで転倒した時は、『あ~』って思いましたが、ステップに入る前に気合が入った羽生選手が雄たけびを上げた瞬間、僕自身もゾクゾクしてしまって。これは凄いことになると思いながら、シャッターを切りつづけました」

「自然と涙が溢れてファインダーが……」
 普段は滅多にないことだが、演技をファインダー越しに見つめるうちに能登さんの目には自然と涙が溢れたという。
「ジュニアの頃から撮影してきましたし、震災から1年の間苦労してきたことも知っていたので、ほぼ完璧に演技を終えた時には、なんだか小さい頃から見守ってきた親戚の子供が立派に成長して旅立つ瞬間を見たような気がして(笑)。自然と涙が溢れてファインダーが滲みました。今では考えられないですけど、表彰式の後に羽生選手が撮影している僕を見つけて……」

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