2014.03.29 - Number web - 五輪の疲れ振り切り羽生が三冠王!町田も2位に入り素晴らしい大会に。 (田村明子)

★ 注:田村明子的文章主要是看Yuzu本人的发言 ★

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羽生結弦が逆転で優勝を飾った世界選手権。町田樹は、五輪の悔しさをバネに表彰台へ上った。日本男子の黄金時代はまだまだ続きそうだ。(Asami Enomoto 榎本麻美)

素晴らしい戦いだった。ソチ五輪のフリーの不完全燃焼を、完ぺきに浄化してくれるような男子フリーだった。
 最終グループ6人の男子がリンクに出てくると、さいたまスーパーアリーナを埋め尽くした観客たちは、熱狂的な歓声で迎えた。
 SPで完璧な「エデンの東」を滑って98.21という歴代3番目の高スコアでトップに立った町田樹は、このグループ6人中2番目の滑走だった。リンクの中央でポーズを取り、今シーズンずっと思いをこめて滑ってきた、ストラヴィンスキーの「火の鳥」の音楽に身をゆだねた。

町田樹の「火の鳥」はほとんど完璧だった。
 かなり緊張しているのが見て取れたが、4回転トウループ、続いて4回転+2回転トウループ、そして3アクセル+3トウループと成功させていくたびに、大歓声が沸きあがった。最後までほとんどミスなく滑り終わると、本人は満足そうな、何かに感じ入ったかのような落ち着いた表情で満場のスタンディングオベーションに応えてお辞儀をした。
「達成感と幸せな気持ちでいっぱいでした。お辞儀をするときに見た光景の感激は、選手として最高に幸せな瞬間でした」
 場内の1万8千人の観客たちが総立ちとなり、拍手と歓声をおくっていた。
 フリー184.05、総合282.26。さすがの羽生結弦でも、これを超えることは無理なのではないか、と思わせる迫力に満ちた演技だった。

羽生の見せた、アスリート魂。
 だが新五輪チャンピオンは、骨太の強さを改めて見せつけた。
 SPではまるでアイドル歌手に対するような黄色い歓声が飛ぶ中で演技を開始という、これまでになかった体験を強いられた。冒頭の4回転トウループ転倒という珍しいミスをしたが「(直前までの歓声の)影響はなかったです」と言い切った。転倒がありながらも91.24という高いスコアで3位スタートという決して悪くない位置についたが、「今ここにいる自分が許せない」と、五輪チャンピオンのプライドを見せた。
 フリーの最終グループ4番目に羽生が登場すると、会場内からはやはり歓声が沸いた。だがSPの時とは打って変わり、そのほとんどがアスリートの応援に相応しい声で、それもどことなく観客たちが遠慮がちに気遣う気配が感じられた。
「ロミオとジュリエット」のメロディがはじまり、最初の4サルコウでは姿勢が崩れかけたが耐えて着氷。続いて4トウループがきまると、ガッツポーズが出た。得意の3アクセルは2回とも完璧に降りて、最後の3ルッツまで、合計4回転を2回、3回転を8回成功させた。
 最後のスピンを回りきって音楽が終わると、熱狂的なスタンディングオベーションに包まれるように、羽生は氷の上にうずくまった。
 フリー191.35、総合282.59、総合第1位という結果が電光掲示板に出ると、ようやく羽生は19歳らしい笑顔を見せた。わずか0.33の点差で町田を上回り、羽生は初の世界タイトルを手にした。

五輪王者の「意地と気合」。
「もう意地と気合でした。(日本開催の大会で勝ちたいと思ったのかと聞かれて)それよりも、これがもう(このプログラムを滑る)最後のフリーだと思っていたので、この物語を最後までしっかり演じたいと思ったんです」
 ソチ五輪では金メダルを獲得するも、フリーでは2回転倒して「悔しい」を連発していた。ここでの戦いは羽生にとって、五輪チャンピオンとしてトップを守る大会というより、不本意だった五輪でのフリーのリベンジをする場だったに違いない。
「ここ2シーズン、(4回転)サルコウがずっときまらなかった。それが最後のこの試合で成功させることができて、とにかく嬉しかったです」
 2002年のアレクセイ・ヤグディン以来12年ぶりに、GPファイナル、五輪、そして世界選手権のタイトルを獲得し、三冠王となった。
「ぼくが憧れていた選手たちにちょっとでも近づけたかなと思いました。ありがとうございました」
 そう喜びを表現しながらも、「SPではトウループをミスしてしまったので、SPとフリーの両方とも良い演技ができるよう、またしっかり練習していきたいです」と決して満足することを知らないアスリート魂をのぞかせた。

フェルナンデス2個目の銅メダル。
 3位は、前回大会に続いてスペインのハビエル・フェルナンデスが入った。ソチ五輪では惜しいところで4位に終わったが「みんなぼくが4位で悔しがっていると思っていたようだけれど、精いっぱいやっての4位でそれなりに幸せな気持ちだったんです」とコメント。フリーでは3度の4回転を成功させるも、苦手なルッツで失敗がありフリー179.51、総合275.93で2個目の銅メダルを獲得した。
「ユヅルが滑った直後だったのに、あんなに日本の観客が応援してくれたのは他の国では考えられないこと。シーズン最後を良い気分で終えることができた」と日本の観客に対する感謝の気持ちを言葉にした。

来季への意欲を見せた小塚崇彦。
 高橋大輔が右膝故障のため欠場と決まってから、3週間で調整したという小塚崇彦は、公式練習からジャンプに苦心している様子が見てとれた。だがそれでも大きく崩れることなく、精いっぱいの演技を見せて総合6位。1月の四大陸後に現役続行を表明した彼は、
「来シーズンはしっかり時間をかけて調整をしていきたい」と意欲を見せた。
 パトリック・チャンなどベテラン勢が欠場した中で、出場した選手たちは五輪の疲れを見せることもなく、レベルの高い演技を見せてくれた。後味の良い、爽やかな男子の戦いとなった。

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